ドイツ・カッセル 【docmenta14】
Hallo!
はじめまして、ドイツはベルリンに留学中の”いっしー”です。
アートメディアでは新年最初の記事になりますね。緊張…!
ベルリンでは年末から年明けにかけて街中から花火が上がり大騒ぎでした。
さて、今回ご紹介するアートイベントは去年のものになりますが、皆さんは2017年がヨーロッパでは10年に1度のアート・イヤーだったことをご存知でしょうか?
世界最大規模の現代アートの祭典「ドクメンタ」「ヴェネチア・ビエンナーレ」「ミュンスター彫刻プロジェクト」が同じ年に開催される特別な年だったのです。
私はこの中でドイツ・カッセルで行われるドクメンタと、同じくドイツ・ミュンスターで行われるミュンスター彫刻プロジェクトに行ってきました。
今回は2017年で通算14回目だった「ドクメンタ14」についてレポートしたいと思います。
ドクメンタ14はギリシャ・アテネとドイツ・カッセルの二カ所で開催されていました。
今回レポートするのはカッセル会場です。
鑑賞料金は1日券が15ユーロ、2日券が27ユーロ。中々高い部類ですが、世界最大級なので価値はあるかと思います。
展示はカッセルの街中に会場が点在していて、チケットを購入した際にもらうマップを頼りにまわります。ドイツ国内だったら別の都市でも本屋さんでもっと詳しいバージョンの地図を購入することができます。
まず中心部の広場に行くと、今回のドクメンタの目玉である高さ10メートルもある巨大な本のパルテノン神殿がお出迎えしてくれました。
今回のテーマは「Learning from Athens/アテネに学ぶ」。こちらの金属の骨組みで作られたパルテノン神殿に貼り付けられている本は、全て何処かの国で『禁書』として指定された過去を持つものばかりです。
職員さんたちがパルテノンに貼られた本を次々と剥がしていて、鑑賞者はパルテノンの前に並んで中に入ると好きなだけパルテノンに貼られていた本を持ち帰ることができました。
室内の展示はこんな感じ。
作品も大きく、どれもダイナミックに展示されていました。
お客さんの人数が多く、また年齢層も幅広くて、現代アートへの関心の高さが伺えます。
ナチス関連の作品もありました。
こちらはワルシャワの作家、Piotr Uklańskiの「Real Nazis」。
現代アートって難しいのでは!?と思われがちかと思いますが、とてもユニークな作品がありましたので1つご紹介します。
ニューヨークの作家、Bill Violaによるオール・スローモーションの映像作品「The Raft」。
映像は、いろんな人種の多種多様な格好の人達が仏頂面でクールに立っている映像から始まります。
そこに突如として左右から襲い掛かる大量の水。
もみくちゃになりながらもあらがう人々。
最後はみんな唖然としたまま、誰からともなく自然に互いに助け合いながら、互いに顔を見合わせたり思わず笑ってしまいながら、また立ち上がります。
クールな顔をしていた人々がいきなり大量の水をぶっかけられるというユニークな表現でありながらも、見ず知らずの人々が同じ困難に出会った時に人種も性別も年齢も関係なく助け合う姿が印象的でした。
この他にもドキュメンタリー要素の入った美術作品も多く、メッセージ性の強い作品群に刺激を受けました。毎回100人以上のアーティストが参加するドクメンタは、しっかり見るなら丸々2日は絶対必要なほどの大ボリュームな展示です!
ちなみに3つの世界最大規模の現代アートの祭典は、ヴェネチア・ビエンナーレは2年に1度、ドクメンタは5年に1度、ミュンスター彫刻プロジェクトは10年に1度行われます。
次のアート・イヤーは2027年!だいぶ先の話になってしまいますが、一度の訪問で3つの現代アートの祭典を堪能できるチャンスです。
ドクメンタはまた5年後にも開催されますので、是非訪れてみてくださいね!
それでは、Tschüss!!